眼瞼痙攣 blepharospasm
眼瞼痙攣(けいれん)とは
眼瞼痙攣は、自分の意思とは関係なくまばたきが増えたり、眼が開けられなくなる病気です。中高年、女性に比較的多くみられます。
まぶたの開閉を制御している脳の神経回路に異常を生じることで、まばたきの制御や、まぶたの開閉の切り替えができなくなります。
まぶたの運動機能に障害が出ることで、瞬きが増えたり(瞼目過多)、眩しさや異物感などを感じやすくなります。
症状が強い場合には、目を開けられなくなる(開瞼困難)ことによる機能的失明となる場合もあり軽視できません。
多くの場合は、両目の軽い症状から始まり、徐々に悪化していきます。また、ドライアイやドライアイに似た症状を合併することも多いです。
ドライアイの治療で効果がなければ、この病気も疑いましょう。
初期
まぶしい、目が乾くなど、ドライアイに似通った症状が見られます。
眼瞼痙攣の症状
- まばたきが多い
- 目を開けているのがつらい、開けていられない
- 目を閉じていたほうが楽
- まぶしい、目がうっとうしい、ショボショボする、乾く
眼瞼痙攣の原因
脳の深部(大脳基底核)の神経回路の異常とされますが、まだ詳しくは解明されていません。
痙攣が瞼に限局しているのか、他の部位にも生じているのかということが、原因を鑑別していく上で重要なポイントとなります。
眼瞼痙攣は40-50歳代に多く、治りにくい病気です。女性の方が男性の2.5倍かかりやすいといわれています。抑うつ、不安、不眠などの精神症状を伴うことが半数以上にあるといわれ、うつ病などとの鑑別も大切です。
眼瞼痙攣の検査には随意瞬目テストを用い、痙攣を一時的に誘発することで、眼瞼痙攣が生じているかどうかを確認します。 また、涙液検査により、眼瞼痙攣に合併しやすい、ドライアイの所見があるかどうかを確認できます。
眼瞼痙攣の治療
対症療法
<遮光眼鏡>目に入る光の一部をカットすることで、まぶしさを抑え、痙攣を生じにくくします。
押し上げ棒の付いた眼鏡で、目を開きやすくします。眼瞼痙攣の患者さんで見られる、眉の近くを軽く押さえると目が開けやすくなる現象(感覚トリック)を利用しています。
ボツリヌス療法(ボトックス注射)※健康保険適用
症状を起こしている筋肉に、ボツリヌストキシンを注射する「ボツリヌス療法」によって治療します。筋肉の過剰な働きを抑えることで、目を開きやすくします。治療にかかる時間は約5分で、次の日から普段の生活に戻っていただけます。ボトックス注射に適している方
アレルギーのない方
異常がない方
患っていない方
効果は2.3日から2週間程度で現れます。70-80%以上の方の症状を改善することができますが、効果の持続期間は3〜4ヶ月となるため、定期的な注射が必要となります。 当院のボトックス注射について詳しくみる ボトックス治療は多くの方に効果のある治療ですが、注射の量が少ないとほとんど効果が出ず、多すぎると不必要な筋肉までも麻痺させてしまう等の副作用が出ます。 他にも、合併症や副作用には下記のようなものがあります。
ボトックス治療の合併症・副作用について
・眼の閉じにくさ眼の乾燥が続くため、ドライアイの治療を並行して続けます。
・眼の開けにくさ
こするなどして、薬が広がった場合に引き起こされます。涙が止まらなくなることも有りますが、治療を行うことで回復を促します。
合併症が起きた場合には適宜処置していきますが、このような合併症は仮に起きても、特に重篤かつ深刻な結果に至ることはまず考えられません。
ボトックスの効果が無くなる頃に合わせ消失します。
これらの症状がみられたら、当院にご相談ください。