麦粒腫(ものもらい)・霰粒腫 stye
麦粒腫(ものもらい)
麦粒腫(ものもらい)とは
ものもらいは医学的には麦粒腫といいます。ものもらいという呼び方は主に東日本でのもので、地方によっては『めいぼ』、『めばちこ』などと呼ばれています。
麦粒腫(ものもらい)の症状
- まぶたが赤く腫れている
- ズキズキとまぶたが痛む
- 目が充血している
- 目やにが出る
麦粒腫(ものもらい)の原因
ものもらいは、まぶたや目の縁に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌に感染することで起こる炎症で、体調に問題がなければ細菌の影響を受けずに済みますが、疲れやストレスが溜まっていたり、睡眠不足だったりすると、目の腫れや痛みなどの症状を引き起こします。
ものもらいの予防方法としては、汚い手で目を擦ったりしないように注意します。
女性の場合は、日頃からアイメイクをしっかり落として、清潔に保つことが重要です。
麦粒腫(ものもらい)の治療
2-3週間で自然に治る場合が多いですが、基本的に点眼治療や軟膏、内服薬などで治療を行います。
炎症が強く、化膿している場合には、切開して排膿することもあります。
霰粒腫
霰粒腫の症状
- 瞼が腫れている
- 目に異物感がある
- 瞼が痛む
霰粒腫の原因
霰粒腫は『マイボーム腺』とは瞼の縁にある脂肪のことで、これが脂肪で詰まることで分泌物が溜まって、しこりや腫れが生じます。
麦粒腫(ものもらい)と似た状態となりますが、霰粒腫ではあまり痛みが生じないのが特徴です。
霰粒腫の治療
保存的治療
霰粒腫が小さい場合は自然に吸収されることがあります。
赤みや目やにを伴っている場合はまず抗菌剤の点眼で様子をみます。
切開治療(日帰り手術)
点眼してもよくならず大きい場合や外に破れている場合、手術で摘出します。
局所麻酔剤を注射し、麻酔が十分効いたのち切開し内容を掻き出します。
霰粒腫が皮膚側に拡大している時は皮膚切開し(経皮膚法)、瞼の裏の結膜側に拡大している時は瞼の裏から切開します(経皮膚法)。
切開法は早く治したい方にはおすすめです。
手術日は眼帯をつけてご帰宅いただきます。翌日には眼帯を外させて頂きます。
費用について
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- 3割負担
- 約¥3,600
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- 2割負担
- 約¥2,400
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- 1割負担
- 約¥1,200
ステロイド注射
霰粒腫に直接ステロイド薬を入れることで、切開に比べて処置後の腫れがほとんどないまま改善する場合があります。
ステロイドによる副作用で眼圧が上昇する可能性がありますが、注射後のチェックに来て頂くことで、眼圧が上がった場合にも点眼治療で眼圧を下げることが可能です。
注射を受けた場合はそのままにするのではなく、必ず注射後の診察にいらして下さい。
麦粒腫(ものもらい)・霰粒腫は人にうつらない
麦粒腫(ものもらい)、霰粒腫は目のまわりを不衛生にしていることで起こるため、他の人にうつることはありません。
ウイルスが原因のもの、例えば「はやり目」などはうつりますが、雑菌や脂肪の固まりが原因である、麦粒腫(ものもらい)・霰粒腫はうつりませんのでご安心してください。
高齢者の場合、悪性腫瘍の可能性もあり
霰粒腫のようにみえて、実際の診断では悪性腫瘍と診断される場合があります。
特に高齢者や再発例では脂腺癌のような悪性腫瘍との鑑別に注意が必要になることがあり、組織を採取して病理組織診断を行う必要がある場合がございます。
ものもらい(麦粒腫)と霰粒腫のよくある質問
Q:繰り返しものもらいや霰粒腫ができます。予防法はありますか?A:汚染された手で、目をこすらないようにしましょう。
また、アイラインを睫毛の付け根の部分に引かないようにしましょう。
霰粒腫をくり返す方は瞼の端にあるマイボーム腺という脂が出る出口の部分が詰まりや可能性があります。
ホットタオルや市販の温めるタイプのアイマスクなどで瞼を温め、その後睫毛専用の洗浄剤(アイシャンプーなど)で睫毛の根元周辺をやさしくマッサージしながら洗浄すると詰まった脂や角質などが徐々に取れていきます。
毎日1~2回継続すると、少しずつ改善されていくでしょう。詳しい方法はLIME研究会のホームページをご参考になさって下さい。
なお、痛みや腫れなどの炎症がある時は控えて下さい。
Q:霰粒腫を目薬で治療していますが、全然治りません
A:霰粒腫は抗生物質やステロイドの目薬、軟膏で治療しますが、同じ様に治療をしてもしこりが残ってしまうケースはよく見られます。
残ってしまったしこりに対しては特効薬がないため、自然に吸収するのを待つか手術で摘出することになります。
また、できてから時間の経過している古いしこり対しては、目薬の効果が期待できません。
Q:霰粒腫は再発しますか?
A:しこりが残ると再発しやすい傾向にあります。
左右違う場所に何度も繰り返す方もいらっしゃいます。
Q:霰粒腫の手術は傷跡が残りますか?
A:必ず残らないとは言えませんが、目の周囲の傷は比較的跡が残りにくいです。
また、皮膚側から切開する場合は瞼と並行に切開するため、二重の幅に隠れてあまり目立ちません。
霰粒腫が睫毛の毛根に近い場合は、手術をした部分の睫毛が生えてこなくなることはあります。